「僕、ウーバーイーツで生き延びました」と若手噺家!

 コロナ禍で寄席も大ピンチ。寄席が「職場」の落語家たちも苦境の日々が続く。逆風に、たくましく生き抜く若手を東京新聞が取材した。

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 「僕、ウーバーイーツで生き延びていました!」。高座で元気に切り出したのは二つ目の林家けい木(30)。

 昨春の緊急事態宣言で寄席は休業、高座の仕事はゼロになってしまった。生計を立てるために外食宅配サービス「ウーバーイーツ」の配達員の仕事を始めた。

 自転車で一日百キロほど走った日もあった。届けた料理をひったくるようにして受け取る人、顔を隠して対応する人、高層マンションのエレベーター前で待ち構える一家…利用客のあれこれをデフォルメして話すと観客は大爆笑。

 昨秋、配達中に負傷したため辞めたが、そのエピソードを落語に生かしながら「“健脚商売”と言っています」。

 師匠の林家木久扇の口癖は「家にいたら『在庫』だよ」。外に出ていろいろ体験せよという教えを守り、積極的に行動する。

 いま電気ひげそりなどCM二本に出演している。オーディションのエピソードも「隠さず、全部ネタにしますよ」。

 無観客で配信の高座も増えるなど、慣れない環境に四苦八苦しても「噺家稼業を辞めた人はいない。こんなことで辞めてたまるかという意地がある」と落語家たちは口をそろえる。

 知恵と工夫を競う昨今、高度な専門知識を生かし、独創的な高座を展開している二つ目を見つけた。

 桂竹千代(34)は明治大学大学院で古代日本文学を専攻。神々が支配していたとされる神話の時代から飛鳥、奈良期あたりまでを得意としていて、「古代史落語家」を名乗る。

 4年ほど前から「かんたん日本古代史の落語会」と題した異色の会を続けている。

 今月上旬、東京・両国の江戸東京博物館。神職姿の竹千代が672年の「壬申の乱」をテーマに一席。

 天智天皇、大友皇子、大海人皇子ら登場人物を解説し、その皇位継承を巡る思惑、戦いを笑いを交えて披露すると、観客は楽しみながらメモを取っていた。

 竹千代は「何か変わったことをと始めたのがこの落語会。笑いながら学ぶ、がいいみたい」と手応えを明かす。

 一昨年「落語DE古事記」(幻冬舎)を出版。昨年は年間150本くらい仕事がなくなったが、動画で「古事記」の一席を配信したところ好評。視聴者が高座に足を運んでくれたことがうれしかったという。

 昨春からは神奈川大でオンラインの生涯学習講座「落語の楽しみ方」などを受け持ち、芸域は広がっている。

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